げえむ語り:サンサーラ・ナーガ2


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ジャンル RPG
ハード スーパーファミコン/ゲームボーイアドバンス
発売日 SFC 1994/07/15 / GBA 2001/12/14
(GBA版はファミコンで発売された『1』と共に、『サンサーラ・ナーガ1x2』として発売)
発売元 ビクターインタラクティブソフトウェア
公式サイト http://www.vis.co.jp/Software/title/sansa/

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生き様を描ききるゲーム

 ストーリーの肝であるアムリタの謎。クリアしても明かされない部分も多い。なぜアムリタの竜があんなことになってしまったのか? なぜ竜使いのギルドはそれを未然に防ぐことができなかったのか?(アムリタの独白に、「ギルドはできたはずなのに防ごうとしなかった」ような話が出てくる)等々。
 それらを「穴だらけのダメなシナリオ」と見る向きもあると思う。実際ちょっと気になるしなー(苦笑) でも私は、アムリタというキャラクターの生き様、ただそれだけを描くために不要なものだったんだと思った。

 孤児である主人公が、唯一心を通わせた「とされる」アムリタ。で、「ゲーム上そうなっているから」アムリタを追う旅に出る。最初は本当にそんな感じ。
 それが、旅を続ける中で変わっていく。旅先で聞かされる「母竜の腹を食い破って出てきたアムリタの子竜」の話。アムリタの隠れ家を見て、「こんなつましい生活をしてまで……」とつぶやく主人公の白竜。セリフにしてたった数十字のエピソードなのに、胸に刺さる。アムリタというキャラクターに引き込まれていく。少なくとも、出立の時に聞かされたような、ただの反逆者ではない。それに呼応するように、行く先々のアムリタに対する評価も、ただの厄介者ではなくなってくる。

 そして終盤――出口を失い、悩みながら流れ着いた世界の最果てで、最後に残った「竜使いとしての道」を全うするアムリタ。端から見れば、世界を崩壊に導いた間違っている行為。その源にあるあまりに純粋な想い。その痛さを感じるのに、ギルド云々や世界の細かい設定は要らない。

 『ICO』を思い出すなあ……何かを物語るのに、詳細な設定や饒舌なセリフは必ずしも必要ではない。あーもーちくしょーやられた。その語りの手腕も、そしてアムリタ自身にも。好きとか萌えとかではなく、そのまっすぐな、純粋な生き様を見せつけられて言葉が無くなる感じ。うまく言えないけど。