げえむ語り:サンサーラ・ナーガ2


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ジャンル RPG
ハード スーパーファミコン/ゲームボーイアドバンス
発売日 SFC 1994/07/15 / GBA 2001/12/14
(GBA版はファミコンで発売された『1』と共に、『サンサーラ・ナーガ1x2』として発売)
発売元 ビクターインタラクティブソフトウェア
公式サイト http://www.vis.co.jp/Software/title/sansa/

ストーリー

 人と竜が共存する世界。竜使いの養成所・龍苑の前に、竜の卵を抱えた子どもが捨てられていた。子どもは龍苑で育てられたが、その間いっこうに卵は孵らない。それでも頑なに卵を手放さない子どもに、竜使い・アムリタだけは理解を示し、心を通わすようになる。
 そして10年後。アムリタは龍苑の倉庫に火を放って逃亡。奇しくもその日、主人公の卵から竜が孵る。主人公はその竜を連れて、反逆者となったアムリタを追う旅に出る――自分に何も言わず旅立った、彼女の真意を知るために。

 いわゆるヒロイック・ファンタジーではなく、主人公は別に世界を救ったりはしません。世界の謎とかそういった壮大な話もなく、ひたすらアムリタといういち人物の足跡を追いかけていく旅。そしてアムリタの言動が少しずつ明らかになっていくにつれて彼女を、真実を知りたいと引き込まれていく。このゲームの魅力は、そのストーリーテリングにあり。

システム:例によって竜を育てるRPG

 主人公が経験値によって成長しないことを除けば、ランダムエンカウントでターン制のバトル、勝って(竜だけが)レベルアップ、あとはお使いイベントをこなしつつ先に進む……とごくごくオーソドックスなRPG。以下、それ以外の特徴的なポイントを挙げてみると。

【竜を育てる】
 旅のお供は竜。最初は白竜1匹ですが、旅の途中で白竜が双子を産んで計3匹となります。双子竜誕生からある程度成長するまでは、エサとなるモンスターを狩って運んでやる日々。晴れて外に連れ出したら、あとはバトルでレベルアップ。成長するとちゃんとグラフィックも変化します。かわいかったチビ助が、母竜を越えてたくましく怖く成長する姿に涙。
 ちなみに、『サンサーラ・ナーガ』(以下『1』)では主人公は最後まで成長しませんでしたが、今回は一定間隔で主人公もステータス上昇があります。でないと、竜とのHP差が激しすぎて一撃死しちゃうからだろうなー。

【竜をしつける】
 竜には「勇敢さ」「思いやり」等のパラメータがあり、それらの高低でバトル中の行動が変化、具体的には命令をきかなくなります。勝手に逃げ出すとか。普通に戦っていった場合、間違いなく竜が主人公を襲うようになりますな。後半は竜の攻撃力が上がってくるのでかなり死活問題(笑) アイテムその他を利用して、竜をコントロールしていきます。

 実はこれら竜の育成は、基本的に『1』と同じ。ただ、『2』ではとっつきやすくという配慮なのか、『1』のシステムから細かい部分が切り落とされています。
 例えば、『1』では主人公が街の人にケンカを売って所持金強奪~なんてことができたので、それによって竜の道徳値が下がるようになっていました。ちょうど子どもが、親のいろんな行動に影響を受けるがごとく。しかし『2』ではケンカ売りシステムその他がなくなったので、主人公個人の振る舞いが竜に影響することもほとんどなし、という具合。事実上、影響するのはバトルだけ。戦うか逃げるか。で、バトルはプレイする以上、避けられない要素だしねえ。
 『1』未プレイの人にはぴんとこないかもしれませんが、『1』のプレイヤーにはそこら辺の細かな変更を惜しむ声が多いらしい。「竜を育てている感」が薄れたというか。ちなみに私も惜しむ一人。

 あと、双子の竜は、赤=ブレス系(ブレス:攻撃魔法みたいなもの)、青=直接攻撃系、緑=回復・補助・その他系 の3種類から選べるようになっています。元々白竜が回復・補助を持っているので、バランスからいうと赤・青なのかな。でも緑竜の気の抜けた顔に根強い人気があったりして。『1』に比べてやや育て感が落ちると言われていても、やはり竜は愛しいのです。

難易度とか

 序盤~中盤にやや手こずる箇所あり。例えばそのステージをクリアするのにやらなきゃいけないことが3つあるとすると、その3つは必ず順番通りにやらなきゃならない。しかもその3つに関するヒントが、どさっといっぺんに与えられたりする。今どきの親切なゲームみたいに、3つのどれから手をつけても先に進めるなんてことはなく、まず1番目に関するヒントだけ与えられて、1番目が終わってから2番目のヒントが出て……てなこともない。ハマってフィールドをさまよっているうちに、レベルがやけに上がっていることも。それはそれで無駄にはならんけど。

 さらに、容量が足りなかったのか制作期間が足りなかったのか両方か(爆)、謎のまま放置されているセリフや仕掛けも少なからず見受けられるので、それに引っ張られてハマる場合もあり。NPCの話をまんべんなく聞いて、与えられた情報をメモったりして整理すべし。

その他ポイントなど

【立ち食いソバチェーン・はらたま】
 『1』にも出てきた立ち食いソバ屋、今回は一気に64支店。どこに行っても必ずはらたま。「未知の世界」のはずである場所にもはらたま。食事でHP回復や旅のヒントを教えてくれるだけでなく、スタンプラリーで景品がもらえたり。メニューも丼やらカレーやらいろいろあって、そこいらのファミレスより充実しているので、ゲーム中におなかが空きます(笑) ダンジョンの奥深くでも営業してくれているので、妙にほっとする空間。はらたま抜きには語れないこの世界。

【白竜のベシャリ】
 白竜は生まれたときから人語を解する、ちょっと特殊な竜。バトル中に「アドバイス」と称していろいろしゃべってくれます。敵が強そうなら「油断は禁物ですよ」、逆に楽勝なら「はっきりいってザコです」など。まああんまり実用性はなく、合いの手という程度。主人公のことを「ご主人さま」と呼ぶこともあり、なんつーか、時代劇で下っ端を連れて旅しているみたいな気分に。うっかり八兵衛ですか。そういえばバトルが長引くと、「お腹が空いてきました」とか言ってるな。
 ステータス異常の攻撃で混乱状態になると、ちゃんと電波系のしゃべりになるのがこわい(笑) しかも後から思い返すと、電波メッセージが実は……てなことに思い当たったり。NPCのセリフなんかもそうだけど、セリフにはかなりこだわりを感じる。

 と、ここまで今ひとつぱっとしない感じでしたが(苦笑)、それらを不問にしてしまうシナリオ運び。とはいえネタバレなので、ここでは書けないのが口惜しい。シナリオ重視な人にお勧め、とだけ。