げえむ語り:アストロノーカ


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ジャンル 宇宙作物育成・害獣退治ゲーム(シミュレーション)
ハード PS
発売日 1998/08/27
発売元 エニックス(現スクウェア・エニックス
(開発:MuuMuuシステムサコム
公式サイト http://www.square-enix.co.jp/games/ps/astro/index.html(スクウェア・エニックスによるゲーム紹介) http://muumuu.com/games/astro/index.htm(MuuMuuによるゲーム紹介その他)

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アストロネット、そしてこの世界

 秀逸なヘルプシステムとして上に紹介したアストロネット。パソコン通信時代の掲示板に参加したことのある人には、かなり懐かしい雰囲気じゃないだろうか。つないで書き込みを読むだけでも課金があったあの頃は、決まった掲示板の記事を定期的にダウンロードしてすぐ回線切断。今と違ってレスポンスツリーの管理機能が貧弱だった(レスのつながりがすぐ切れちゃう)ので、自分の興味のありそうなものだけを拾い読みすることが難しく、必然的にほとんどの書き込みをひととおりチェックするようになる。その中で活発に書き込みする人、ぼそっと一言書き込んでいく人、鋭いツッコミを入れる人、雰囲気を和らげる人……そういった個々の人となりが浮かび上がってくる。必要な部分を拾い読みするだけでは、決して分からない。

 アストロネットにもそういうところがある。プレイヤーはヘルプとしてすべての書き込みをひととおり読んでいくわけだけど、その中で書き込んだ者たちの性格みたいなものが浮かび上がってくる。数十文字の書き込みがとぎれとぎれに続いていくだけなのに、ああこういう小うるさい奴いるよなーとか、この人質問ばっかりしてるよーとか、苦笑しながら読んでしまう。人が、コミュニティがそこにある。そして、自分もその中の一人であることを感じる。と同時に、「あああ自分も書き込みてえ」という欲求不満が別途発生するんだけど、それはさておき。

 そうやって描かれた、この世界そのものが居心地いい。嫌味な奴や高飛車な奴もどこか憎めない。それどころかバブーだって、プレイヤーのすることを妨害する敵キャラなのに、邪魔だ死ねなどと思うプレイヤーは多分いない。かといってプレイヤーに媚びるのでもなく、ただそこにあって、誰でも出入り自由な空気。システムやシナリオの都合ではない世界。「野菜育成」「バブー退治」といったシステムだけでも十分楽しいのに、さらに手を抜かずつくられたこの世界万歳、なのです。