ジャンル | 宇宙作物育成・害獣退治ゲーム(シミュレーション) |
ハード | PS |
発売日 | 1998/08/27 |
発売元 | エニックス(現スクウェア・エニックス) (開発:MuuMuu・システムサコム) |
公式サイト | http://www.square-enix.co.jp/games/ps/astro/index.html(スクウェア・エニックスによるゲーム紹介) http://muumuu.com/games/astro/index.htm(MuuMuuによるゲーム紹介その他) |
あなたは新人農夫。未開の地へ入植し、野菜を育てていきます――宇宙で。
なぜ宇宙?とか訊かないように。育てるのは宇宙野菜、その野菜を食い荒らしに来るのはどこか間抜けで憎めない害獣バブー。自信の野菜ができたらコンクールに出品し、賞金や名声を得るもよし。ただシマイモ一筋に生きるもよし。バブー退治に血道を上げるもよし。究極の野菜を追い求めるもよし。そんなノーカライフをほけほけと過ごすゲーム。
農夫なんだからすることは農作業。与えられた畑に、まずは「シマイモ」を植えて育てます。野菜は数日経てば勝手に実るので、収穫時期さえ間違わなければまるっきり世話なし。穫れた野菜は売って資金源に。そうしてある程度資金がたまった頃、新しい種と交配マシーンが手に入ります。そしたら真にやるべきは、種を交配してよりよい野菜、新種の野菜を生み出すこと。
交配は法則性があるものの、思った通りの結果になるかどうかは最終的には運任せ。なので、手っ取り早く質を上げていく方法といったものもなく、そっち方面のやり込み要素はあまりないかな。
それより、交配でできた野菜が何しろばかばかしい。「ゾウより重い」野菜とか「アートな形」の野菜とか。宇宙野菜なので、形が変わったり音が出たりするのも当たり前。見かけも交配によって変わっていき、すっかり変わり果てた姿になるのもまた楽し。つーか食えるのかこれ。
町では定期的に野菜コンクールが開かれています。出来のよい野菜が穫れたら、売らずにコンクールに出品すべし。見事優勝すれば賞金がもらえます。時には「○○コンクールで勝負だ!」などとどこかの農夫から挑戦メールが来たりすることもあるので、それで負けると結構悔しいかも(笑)
このように、基本的には交配を繰り返してよりよい野菜をつくっていくわけですが、「よい野菜」があれば「悪い野菜」もあり……「悪夢の臭い」な野菜とか「地獄へ直行」な野菜とか、食べる前から具合悪くなりそうなものが次から次へと(笑) で、悪い野菜だから避けるべきかといえばそうでもなく、あまりにひどい野菜は逆に価値が急上昇。「最悪野菜コンクール」は、そこいらの上級コンクールより勝ち残るのが難しいとも。
交配のバリエーションはかなりあるので、自分好みの野菜をいろいろつくってみるのもまた一興。
交配を重ねてやっとできた野菜を、夜な夜な食い荒らしに来る害獣・バブー。こいつらから野菜を守るべく、畑の入り口にトラップを仕掛けます。落とし穴・壁・かかしといった比較的まっとうなものから、怪光線のような何だかよく分からないものまでいろいろ。
しかし問題は、バブーも進化すること。落とし穴を避ける知恵や、壁を飛び越える脚力を身につけるようになる。同じ手を何度も使っているとあっという間に進化するので、こちらもこまめにトラップの配置を変える必要があります。文字通り知恵比べ。トラップへの耐性をどんどん強めていくバブーは、さながら抗生物質への耐性を強める細菌のごとし。あうう。
と書くとバブーが何だか恐ろしい怪物みたいですが、実物は間抜け(笑) トラップとの攻防で見せる姿がまたよし。捕まえてペットにするもよし。
また、トラップの配置を考えるのも楽しい。上にもちょこっと書いたように、トラップも野菜に負けず劣らず、かなりばかばかしいものが揃っています。バブーに風船をつけて空に飛ばしちゃったり、バブーが通りかかったらボクシンググローブのパンチが飛び出してノックアウトしたり。さらにそれらを組み合わせると、ばかばかしさ倍増。分かる人にしか分からない表現だけど、『インクレディブル・マシーン』的楽しさ。
さらに、トラップには「芸術点」なるものがあり、コンボを決めたりすると点数が上がります。トラップ使いとして精進するもよし。芸術点がなぜか、野菜の育ち具合にも影響するようだし。
ピート君LOVE(きっぱり) 新人農夫のガイド役であり農作業のお手伝いさんでもある、農業ロボット「ピート」。プレイヤーを「ご主人さま」と呼び、家の縁側(あるんだこれが)で季節の変化や野菜の出来、町の噂話といった他愛ないおしゃべりをする彼はまさしく癒し。媚びとはまた違うんだよなあ。
それから、宇宙農夫たちの情報交換の場「アストロネット」が秀逸。交配やバブー撃退のヒントなど、ゲームを進める上でのヘルプ情報が、農夫達の書き込みという形で段階を追ってプレイヤーに提示されていきます。ネタばれにならず、マニュアルが分厚くなることもなく、それでいて必要な情報が無理なくプレイヤーに入っていく。今でこそ、プレイヤーの進度に応じたヘルプ表示というのは珍しくないけど、当時は本当に画期的だった。
同時にアストロネットは、「プレイヤーと同じように入植してきた農夫達」を描くためにも使われています。彼らの多くは似顔絵すらないNPCだけど、掲示板の書き込みやメールで浮かび上がる存在感。文字の底力を見た思い。テクスト万歳。