簡単なゲーム紹介と期待するところなど。
絵本のようなビジュアル、アクション性の高いバトル、ストーリーに大きく関わるジオラマシステム、アイテム合成や発明等の豊富なやり込み要素……と大作っぽい要素をこれでもかと詰め込みながらも、何か売れ行きイマイチっぽいのですが。同日発売のアレに食われたんでしょうか。それはさておき。
ちょっと敬遠気味だったRPGに手を出した理由は、まあ何というか、大人のプレイヤーも意識したつくりになっていそうだったから、かな。年寄りには、ヒーローとヒロインがラブラブ（死語）な様子とか、仲間同士が友情を確かめ合う場面とかを長々と展開されると、むずかゆいのを通り越して居たたまれないのよ。そういうのは匂わす程度にして、あとは己の想像力で補完しようよ。二次創作とか。その点このゲームは、CMを見る限り、その昔ゲームの発売日に行列していた年代をターゲットにしているようなので、それなりに考えてくれているだろうと。
主人公の設定を見ても、そんな感じがする。町の秘密を知ってしまったために追われるハメになった少年と、王国を救うために100年後の世界からやってきた少女の、時を越えた冒険――これって、オチはすっかり決まってるじゃないの。あうう『ICO』を思い出す。あれは最後の最後でどんでん返しが待っているけど、それがない感じになるのかなと。おそらく若者には納得がいかない、汚れたオトナにはしみじみと切ない結末。になるかどうかは分からないけど。
そんなわけで、自称「RPGらしいRPG」のお手並み拝見。
少年と少女の世界を救う冒険。古きよき2D時代のRPGという感じかな。間違っても主人公が後ろ向きな言を吐いたり一人で懊悩したりすることはなく、まあ安心して見ていられるというか。ご都合主義的な展開には目をつぶるべし。ってこんなこと言う方が野暮かもしれんが。
ストーリーとは関係ないけど、ちょっと気になったのが、セリフ回しの不自然さ。イベントシーンはフルボイスなんだけど、特に最初の方、状況説明のセリフをそのまましゃべらせているのがなー。目で読むだけなら気にならなかったと思うんだけど。ボイス入れるなら、もう少し自然な会話調にならなかったのかなあ。グラフィックが手描きのアニメを見ているような出来なだけに惜しい。
アクション要素あり。だけど、高度なテクニックを要求される場面はあまりないような気がする。直接攻撃（レンチ・剣）と遠距離攻撃（銃・魔法）を使い分ける必要もあんまりないような……RPGなので、レベル上げて力押しもできるし。（ちなみに本人ではなくて武器がレベルアップしていく）
通常攻撃の他、ユリスは「ライドポッド」というロボットに乗って、モニカはモンスターに変身して、それぞれ戦うことができる。ライドポッドは、遠距離攻撃系のアームをつけてやれば無傷でフロア殲滅も可能（アクション苦手な人の救済措置？）。一方モンスターへんげは、今のところあまり使い道がないような……でも、変身すると同じ系統のモンスターと仲良くお話ができて楽しい。モンスターのセリフ、よくこれだけ用意したな。
自由に町づくりができる、けど実際は、先に進むためのフラグ。シナリオを先に進めるためには町をどんな風にしたらいいか、という条件がはっきり示されていて、結局その通りにせざるをえない。それを満たしたら、後はどんな町にしようと自由なんだけど、それでシナリオ上、何かが変わるわけではなく。
条件をもう少しぼかして示すとか、あるいはネットワーク対応で離れたプレイヤー同士がお互いの町を行き来できる、なんてことになっていれば、まだ少し使い道はあったかも。箱庭づくり自体が楽しい人にはいいんだけど。
町中やダンジョンで見かけたものをカメラでぱしゃり。3枚の写真をヒントに、アイテムや武器を発明できる。細部まで作り込まれた背景を生かした、面白いシステムだと思う。
町中の池で、海岸で、はたまた戦い終えたダンジョンの中でちょっと息抜き。で済まないぐらいハマる人もいるらしい。魚は数十種類いるらしく、釣った魚の説明書きを読んでいるだけでも結構楽しい。
釣った魚は、大きさを競う魚釣りコンテストに出してもいいし、飼育して速さを競うギョレースに出してもいい。要らなきゃ「しちりん」で焼いて食える潔さ。キャッチアンドイート。
要はゴルフ。システムは『みんなのゴルフ』そのまんまらしい。フロアの敵を殲滅してからでないとプレイできないのが残念。
全体的には、「何でこんな所まで」というぐらい、細かいところまで作り込まれている印象。幕の内弁当的に盛り込まれた多彩なシステムを、煩わしいと思うか楽しめるかで評価が分かれるか。少なくとも、システムがごちゃついていて分からないということはないので、あとは本当に好みだと思う。ストーリーよりシステム、やり込み好きならなおよし、かな。