続せがれいじり 感想・オカカワリと変珍の微妙な関係


index続せがれ > 感想

 前作『せがれいじり』を毎日いじり、感動のエンディングまで見た身としては、当然続編も即買い。というか1ヶ月前から予約。そしてああこの世界、このバカさ加減がもう一度、と喜々としてプレイして、一応エンディングらしきものまで見ました。楽しかった……けど、なんか引っかかる。「思い出は美しい」といってしまえばそれまでなんですが、気になったことを挙げてみます。

言葉遊びが減った

 オカカワリと呼ばれる行為。例えば3択×3択の組み合わせで、よく知った遊びの名前が「かん・ごっこ」になったり「おに・ずもう」になったり「ゆび・けり」になったりする馬鹿馬鹿しさ。さらにそれを本当にCGで再現してしまうくだらなさ。それがこのシリーズの売りだったと思います。どんなめちゃくちゃな組み合わせでも必ず何かしらの絵が出てくる根性に敬服しつつ、「“おに”と“すもう”でこう来るかな?」と予測しつつ開けてみると全然違う展開でやられたー、という裏切りもまた楽しみで。

 今作ももちろん、そういう言葉遊びは健在。が、そうじゃないのも結構多い。

 今作のオカカワリ、言葉以外の組み合わせがいろいろ増えています。パーツと柄を組み合わせたり、違う動きを組み合わせたり。前作にない新要素ではあるけど……言葉と違って、組み合わせた時点で「こう来るかな?」という想像が全く立たないか、あまりにそのまんまで裏切りの爽快感がないか、のどちらかが多かった気がします。言葉遊びがしたかったのにー。なので、個人的に「合体」シリーズや「イメージしてみよう」シリーズあたりは、最初の2~3回で既に飽き気味。

 あと、言葉を組み合わせるものでも、組み合わせてできた文章から発展させたネタではなく、単に文章中に使われている単語を切り出してそれを変珍させているだけのものは、やはり何回も見たいとは思いませんでした。「しあつ」とか。これは変珍パーツ調達用だったのかな。

 それらもおバカで笑えることは笑えるんだけど、多いときには27通りもある組み合わせ、それら全部を見たいとまでは正直思わず。言葉遊びや作文に重きを置く、私個人の好みもあるんでしょうけどね。
 今作「クリソツくんのオネガイ」では、オネガイを叶えるためにオカカワリを総当たりでやっていかなきゃならなくなります。前作は自ら進んで総当たりして遊んでいたんですが、今回はちょっときつかった……オカカワリが作業と化した瞬間。

変珍くんはゲーム的要素か?

 ここで今作の新要素に目を向けてみる。変珍くん。プレイヤーはいろんな人のオネガイ通りに、変珍くんを「変珍」させていかなければなりません。前作が特に目的もなく、気の向くままに言葉を組み合わせていくだけだったのに対して、今作はゆるいながらも先に進むために一定条件を満たす必要があると。前作が「これはゲームじゃない」みたいなことを言われていたから、今回はゲームっぽさを意識したのかな。個人的には、前作のだらーっと無目的なところが好きだったんですが、まあそういうもんなら、ゲームと思ってちょっと頑張ってみましょうか。
 と一度は納得しかけたんですが、仮にそうだとした場合、それもまたうまくいっていないような感じ。

 最初のうちは気の向くままにオカカワリしていても何となく条件をクリアできるんですが、上にも書いた「クリソツくんのオネガイ」以降は条件が細かくなって、気の向くままとはいかなくなります。で、変珍くんのパーツ探しに奔走するわけですが、そこに試行錯誤する要素が少ない。
 例えば鼻をラッパみたいにしなきゃいけないとする。そのときに聞き出せるヒントが「鼻歌でも歌ってみたら?」。「はなうた」はオキモノの名前。つまりそこに行ってオカカワリすればラッパが出てくるんだな、とわかる。そこまではいい。  で、はなうたに行くんですが……ここの組み合わせって「フン」とか「Buu」とか「ハハン」といった擬音ばかり。どの組み合わせにするとラッパに近いかなー、といった推測は不能。で結局、組み合わせを総当たり。

 変珍させる順番(かみがたが先かじょうはんしんが先か、とか)に多少頭をひねるぐらいで、あとは基本的に行った先で総当たり(そのものズバリの正解情報をもらえる場合もあるが)。仮に総当たり作業が苦でなかったとしても、これって「ゲーム」なのか?  どのオカカワリでどんな変珍ができたか覚えておけば苦労はしないので、神経衰弱みたいなゲームと言えなくもないけど……100個以上もあるオキモノの、どれにどうオカカワリすればどんな風に変珍できたか、なんてとっても覚えられません(涙) 「ゾウさん」って何が出てきたっけ、やっぱ獣っぽい変珍だったかなあ……と思って行ってみたら全然違ったり。

 そんなに言うなら、クリアしようとか思わず、自分の好きなオカカワリだけしてりゃいいじゃん、なんですが……イベントムービーがあると分かっていれば、やっぱ見たいんですよ。せがれとオネガイしてきた人たちとの微妙な会話加減とか。この世界好きだから。

続編というより福笑いゲーム?

 かなりダラダラと書いてきたのでまとめると。

 今作は、前作に比べて言葉遊びを楽しめるオカカワリが減っていて、それに期待していると飽きが早い。他方、変珍くんを変珍させるゲームにしては、変珍が一定のルールに乗っかっているわけではないので、先に進むには総当たりせざるをえない。オカカワリ自体の楽しみとゲームの楽しみ、どちらも中途半端に感じる。

というところでしょうか。

 やっぱ「言葉遊び」を期待していた者としては、言葉遊びでないオカカワリが増えちゃったのが一番辛かった。そこが思ったものであれば、別に総当たりでも苦にならなかったのに。
 聞くところによると今作、元々はせがれは関係なく、福笑いみたいなゲームを考えていたとか。何だかんだでそこにせがれが加わり『続せがれいじり』となったようですが、続編じゃなかったのかもしれない。あくまでメインは変珍くんの福笑いゲーム、と思っておけばよかったのかな。

 かなりネガティブトーンでここまで来ましたが、「面白かったか?」と訊かれれば、面白かった、です。ノータリンにも会えたし。
 ただ、もし人に勧めるならまず前作からかな。「ゲーム」であることをハナから考えていない前作の方が一貫していて、かえって勧めやすい。あ、もちろん、う*こネタおっけーであることを事前に確認した上で、だけど(笑)