ここ掘れ!プッカ 感想――AIと魂の距離


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 その後、採掘大統領までいった。宇宙石があと一種類見つからないのと、どうもそれ以外にも「星」がもらえるイベントを取りこぼしているっぽい……あうあう。とりあえず感想をば。

まとまっているAIゲーム

 例によってプッカやその他キャラは間抜けかわいいし、宇宙石協会の掲示板や宇宙石の説明など、テキスト部分はよく書かれていて笑ったし。『がんばれ森川君2号』の育成要素を引き継ぎつつ、資金稼ぎや宇宙石図鑑コンプリートなど、ゲーム的要素を織り交ぜてあるので、『森川君』がイマイチ無目的で飽きた、という人には、『プッカ』だったらあるいはいけるかもしれない。ゲームとしてまとまっているなと。

 なんだけど、一方ですっきりしないものが。おそらく非人間キャラ萌え者特有のジレンマだけど……プッカの育成が目的のみならず、ゲームクリアのための手段であること。

使いっぱ化する「相棒」

 このゲーム、プッカを鍛えて、様々なアイテムを適切に判断させなきゃならない。これを怠ると、特に序盤は資金ショート=ゲームオーバーになる危険性大。スイッチがあれば押させないと先に進めないし、ラブリーもラブリーとしてかわいがらせないとやはり先に進めない、ああ今日はもっと先までマップ開けておきたいから、それには関わらずに先に進ませて……などとやっていると、自然と指示する回数は増えるわけで。

 で、そうやってプッカにいろいろ指示していくうちに、何かやるせなくなってくるんですよ。プッカがかわいいことを言ったりやったりすればするほど、「宇宙石をとってくるための使いっぱ」にしている自分が嫌でも意識にのぼるので。でもこのゲームを進める上で、使いっぱにすることは避けられないし。うー。

 間抜けで愛すべきプッカ故に、クリアのため使役している自分が後ろめたいんです。しくしく。思えば、私が仮にゲームキューブ買っても『ピクミン』に手を出さないであろう理由も、ピクミンがゲームクリアの手段だから、だったっけ。

魂よ宿れ

 さらに飛躍して、プッカが自律した存在であってくれれば、と夢想しちゃうんですよ。そういうゲームでないことは分かりきっているんだけど……ちょっと放っておいたら、こっちが思いもよらない行動をしでかすようになったりしないかなー、なんて。でも実際は、こっちが教えたことを忠実に守るのみ(たまに学習が混乱して、判断誤るけど)。勝手に幻想を抱いて勝手に差を感じて勝手に軽く失意。そこまで面倒見てられっか、というツッコミは無用に。

 やっぱり、AIって何となく期待してしまう。さすがにアトム世代ではないんだけど(笑)、プレイヤーの働きかけにいろんな反応を見せたり、その反応もだんだん変わっていったり、こっちが教えてもいないようなことをいつの間にか知っていたり……ゲームのキャラクターがプレイヤーの「相棒」「仲間」と呼べるぐらいにならないかなーとつい夢想。私の生きている間に見られるかな。

【追記】『ガンパレードマーチ』や『ICO』では、NPCにAI(ぽいもの)を導入して、自律しているように見せることに成功している。でも、PCの働きかけに影響されることはあっても学習はしないんだよね。

 もちろんこれらは私の過剰な思い入れ故の感想なので、多くのプレイヤーにとっては楽しみを損なうようなことはないはず。プッカにあれだけのセリフ(というか独り言)を用意しているところに、制作者の思いを感じるし。ことキャラクターや舞台背景を描くことに関しては、本当に丁寧だしよく分かっているなあと思う。それらがまたさりげないからすごい。そこにいつか魂の宿らんことを。